委託を受けて起業することは違法ではない

ITの分野でも、起業して業務委託を受ける人が増えています。従来は、企業が商品の製造を他者に依頼する場合は、生産量や流通経路を指示したり、製造に適した設備を持った工場を探したりしなければならなかったため、契約相手を探す段階で手間がかかりました。しかし、IT業ならばメールやチャットによる指示からデータの納品までをすべてインターネット上で行えるため、不特定の相手に業務委託を依頼することも可能です。

働く側から見れば、作業を行う時間や場所を自分自身で決められますし、初期投資を最小限に留めて起業できるというメリットがあります。このような業務委託は違法ではないかという誤解もありますが、正確ではありません。この形態は民法上は請負と呼ばれており、所定の期日までに仕事を完成させることを依頼する契約です。仕事を受注する人は労働者ではないため、社会保険や雇用保険に加入する必要はありませんし、勤務地も勤務時間も決められません。

これを逆手に取って、実際には労働者なのに請負として扱うことで保険加入を拒否する企業もありますが、これは偽装請負と呼ばれる違法行為です。個人事業主が起業して仕事を受注することは違法ではありませんし、仕事の量に応じて報酬を得られる成果主義のため、雇用されて働くよりも大きな収入が見込めます。ただし、能力に見合った収入を得るためにはスキルが必要となります。IT業務の場合は、プログラミングやソフトウェアの使用法だけではなく、自己管理もスキルとして求められます。一人でも行える仕事だからこそ、発注元とのコミュニケーションを欠かさず、期日を守る意識を持つことが重要です。